あなたは、初めて補助輪を外した自転車に乗れるようになった日のことを、憶えていますか。私自身は、かすかな記憶としてしか憶えていません。
自転車の後ろを支えてくれる手を信じ、不安だらけの中で懸命にペダルを踏み、それまでと違う感覚に気付いた時には自転車に乗れていた。忘れかけていた記憶を、娘が思い出させてくれました。
補助輪を外した自転車に、娘が乗れるようになりました。
娘の「初めて」を直接見る経験が、ほぼなかった
娘を授かってから今まで、娘の「初めて」を直接この目で見る経験が、ほぼなかったと感じています。「父親として何やってんの?」という感じですが、実際にほとんど見てこれなったと思います。
出生時には分娩室の外で待機はしていましたが、お産は女性(母親)の領域だからという言い訳で立ち会うことはしていません。ですので、娘が初めてこの世界の空気を吸って産声を上げる姿は見れていません。
初めて言葉らしきものを発した時も、初めてつかまり立ちをした時も、娘の横で見ていたのはカミさんでした。そんなことは世間のお父さんにとって、当たり前なのかもしれません。
私自身、自転車の練習に付き合って初めて、娘の「初めて」を見てこなかったと感じることができました。
補助輪を外す練習を始めました
親戚のお下がりの自転車をもらったのが1年半ほど前。年代もので重いお下がりの自転車に、補助輪を付けて自分で走れるようになって約1年になります。そろそろ大丈夫だろうと考え、娘の希望も確認してから補助輪を外す練習を開始。
補助輪を外す練習は以下のような段階で進めました。
その1:数センチ地面から補助輪が浮くように、高さを調整して娘が自転車に乗るときのクセを把握します。
その2:娘の場合、右側の補助輪にたよって乗るクセがあることが分かったので、左側の補助輪を外して乗る練習を重ねます。
その3:片側だけの補助輪で乗れるようになってきたら、残った補助輪も外す。いきなり補助輪なしだと転びますし、そもそも発進できません。私がハンドルの中央を持って補助しながら並走し、自転車のバランスのとり方を体と心に慣れさせます。
その4:徐々にハンドルを握って補助する力を緩める
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手を添えるだけにする
↓
一瞬だけ手を離す
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手を離す時間を長くする
このような段階をふまえて、最後は5秒を越えて手を離すことができた時、娘は自転車に乗れるようになっていました。
自転車に乗れた時の娘の顔
私がハンドルの中央を持って補助して並走している時、娘は複雑な表情をしていました。自転車に乗れるようになりたい気持ちはあるけど、怖さや不安がぬぐえない、そんな顔に見えました。
手を離して並走するようになり、手を離す時間が5秒を越えても自分で乗れている娘に「乗れてるよ!」と私が声をかけた時の娘の顔。なんとも言えない、素敵な表情をしていました。
補助輪を外した自転車に、自分が乗れていることへの驚き。10日間ほど毎日練習を続け、ついに乗れた達成感。お母さんと同じように、自転車に乗れるようになったことへの嬉しさ。私に「すごいね、乗れてるね!」と言われた気恥ずかしさ。
それらすべてが詰まった、輝くような笑顔。その笑顔が、今まで娘の「初めて」を見た経験が私にはほとんどなかったと気付かせてくれました。
この先も、いろいろな「初めて」を経験していくのでしょうね。自転車に乗れるようになって自分で行ける場所が広がるように、たくさんの「初めて」で娘の世界が広がるのですね。
親として、これからの娘の「初めて」を見守れるよう精進します。
では、また