建築の構造設計なんてやってて楽しい?楽しいですよ

建築の構造設計をやってると言うと、「何それおいしいの、楽しいの?」と聞かれることがあります。そんな時は、素直に「楽しいですよ」と答えていますが、いったい何が楽しいのかは理解してもらえることの方が少ないです。

最初はしんどいこともあります

建設会社や設計事務所に入社したからといって、すぐに建物全体の構造設計を任せてもらえる何てことはありません。人の命がなくなることがないように、地震などにも耐えられる建物にしなければならない仕事なので、当然ですね。

最初は、階段であったり庇であったりという建物の部分的な検討や、ある部分の詳細図をCAD図面で作成するといったことから始めます。

この時期は修行期間の初期段階といった時期なので、楽しいというよりもしんどいと感じる部分も多いです。ですが、出来る事が増えることを楽しむことは出来ますし、技術や知識を吸収していることを楽しむことだって可能です。

初めて建物全体の構造設計を担当した時

初めて建物全体の構造設計を担当した時は、嬉しかったと同時に怖かったです。安全な建物にすることは当たり前の絶対条件であるという責任感もありました。もちろん自分で判断できる範囲は少なく、上司や先輩のレビューを受けながら進めていきました。

解析ソフトの使い方や理論も分からない部分が多く、1つ1つ確認しながらの作業なので時間もかかります。CADソフトと格闘しながら、初めての図面を見よう見まねで描きました。

設計の期間的には余裕のあるプロジェクトを任せてもらえましたが、それでも相当な時間がかかりました。正直しんどくて、楽しんでいる余裕はありませんでした。

設計が終わって現場が始まり、現場との打ち合わせを重ねてやっと建物の骨組みが出来上がった時、それまでのしんどさが吹き飛ぶような嬉しさを感じました。自分が解析し設計し描いた図面の内容が、本当に形になってそこにあるということの感動は、経験を重ねても嬉しいものです。

出来る範囲が広くなると楽しみも増えます

経験を積んで、出来る範囲や自分で判断し決められる範囲が広くなると、楽しみも増えます。

建築家の思い描く空間を創り出すために一緒に考え悩み、解決策を見つけた時。

構造設計者として、その建物でやろうとしたことが表現できた時。

複雑な部分や、難しい架構をシンプルにまとめることが出来た時。

地震が起きても被害が最小限で、ケガ人や死者を出すことがなかった時。

それぞれの場面で、楽しみや嬉しさや安堵を感じます。建物全体が最先端の技術に包まれていなくても、自分がやり切った部分がごく一部であったとしても、気持ちよく安全な空間を持つ建築を世に出せることが嬉しいし楽しい。

それってただの自己満足だよね、と言われたこともあります。

自己満足じゃダメですか?自分が関わった建物を使う人が喜んでくれて、安心を感じてくれて安全であること、それが構造設計をやっている楽しみなのです。

では、また

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