構造設計者の転職-面接で自分を説明するための自己分析におすすめ

新卒時の就職活動であれば、大学の同級生が同じ時期に就職活動中である場合が多く、筆記試験や面接内容の情報を共有することが比較的簡単ですし、大学の就職課の支援も期待できます。転職の場合は、転職エージェントに登録するところからスタートすることが一般的かと思いますが、職種に応じた細かなアドバイスが必ずしも期待できるとは限りません。構造設計者が面接で自分のこと(性格や特徴)を説明するのは、意外と苦労するものです。

転職時の関門は書類審査、筆記試験、面接

一般的に、転職をするための関門は大きく分けて①書類審査、②筆記試験、③面接です。これは新卒時とほぼ変わりありません。

①書類審査

エントリーシートに記述した資格や技術、職務経歴書による担当した業務内容が採用する企業側の要望に合えば特に書類審査はパスできます。転職での中途採用の場合は、新卒時と違って極端に多数の競争相手が存在しているわけではありません。企業側としては、即戦力として働いてもらえる人材をすぐにでも確保したいから募集しています。ですので、書類審査に落ちた場合は「企業側の求めるものと合わなかった」というだけなので、気に病む必要はないです。

②筆記試験

中途採用の場合でも、新卒時と同じくSPI試験を課される会社も増えています。ただし、新卒時のSPIとは違う種類の、中途採用者用のSPI試験となっています。(他にも能力、性格を測定する試験はありますが、SPIが一般的です)

新卒時の場合は、能力と性格の両方を重視するかと思いますが、中途採用の場合は少し違うと感じています。能力があまりに平均値以下だと問題ですが、そうでない場合は性格の要素の方が大きなウェイトを占めます。なぜでしょうか?

採用する企業側にとっては、中途採用の構造設計者は即戦力です。会社ごとの多少の違いがあっても、基本的にはすぐにでも仕事を任せられる存在として期待されています。明日から自分たちと共に働く仲間になる人物像かどうか、そちらに重点をおかれて当然です。

筆記試験でもう一つ、基本的な構造設計の知識を確認する試験を受ける場合もありますが、あまり気にしなくても構わないと思います。ペーパーテストで把握できるような能力は、所持している資格を見れば把握できます。十分なキャリアを積んできたことが職務経歴から読み取れれば能力面では十分なのです。

③面接

面接は、志望している部署の部長クラス→人事部の部長クラス→役員と進むことが一般的かと思います。志望している部署の部長クラスの面接では、技術者としてやってきたことや考え方を問われます。同じ技術者同士の面接なので理解してもらいやすく、どう受け答えしてよいか分からない質問はあまりないと思います。それこそ、明日から仲間となる人物かどうかを見られるため、馴染めそうな人物像かどうかが一番重要です。

どこの会社でもだいたい同じだと思いますが、役員面接がある場合は形式的な最終確認の意味合いが強いです。現場が人を入れたくて、即戦力として役員面接まで持ってきた人物です、儀式だと思えば乗り切れます。

問題なのは、人事部との面接です。人事部との面接の場合、「あなたの性格はどんな性格ですか?」「あなたの特徴はどんな部分にあると考えていますか?」といった自己分析を、ほぼ必ず聞かれます。この質問、構造設計者だけでなく技術職全般に従事する人にとって、答えにくい質問です。

なぜ自分のことを説明するのが難しいのか

構造設計者も技術職です。建築の設計という分野で、意匠設計や設備設計、現場やメーカーなど人との折衝も仕事のうちですが、それは建物というモノを真ん中においてのやり取りです。設計行為については、「なぜそうするのか?」「なぜ他の方法ではだめなのか?」とある程度の客観視をして業務をしています。

ですが、自分自身の内面について、「客観的にみた自分の性格はどうだろう?」とか「技術力ではない、自分の特徴とは何だろう?」ということは考えない人の方が多いです。私もそうでした。ついつい、自分にはこういうことが出来る技術がありますといった、能力の方向に答えが向かいがちになってしまいます。

人事部が知りたいのは能力ではなく、性格です。社交的なのか、内向的なのか。協調性があるのか独善的なのか。といった内面を、どのように自己分析しているのか、それを確かめたいのです。何しろ相手(人事部)にはSPI試験での性格に関する測定結果があるのです。自己分析とSPI試験の結果に違いがあるならば、なぜなのか知りたいでしょう。逆に同じであっても、なぜなのか確かめたくなります。

自分が考えている自分、他人が見ている自分、SPI試験などある程度の客観性がある測定結果での自分、違って当たり前です。ですが、自己分析なんてしてこなかった身にとっては、どう答えればよいのか迷ってしまうのです。

自分のことを知るために、何ができるのか

性格診断のたぐいが全て正解だとは思いませんが、ある程度の客観性はあると感じています。特に転職の際にSPI試験を受けたのであれば、やっておいて損はないものがあります。

グッドポイント診断

ストレングスファインダー

です

グッドポイント診断は、SPI試験を提供するリクルートマネージメントソリューションズと同じリクルートグループのリクナビNEXTが提供する、無料で出来る自分の強み診断です。全18項目から強みの上位5項目が抽出されます。

ストレングスファインダーは書籍を購入し添付のコードをWEBページで入力して診断するか、料金を支払い診断のみをWEBで受けるかにより診断できる、有料の自分の強み診断です。全34項目から強みの上位5項目が抽出されます。

自分の強みを知ってどうるすの?となりますよね。これは「強み」というより、意識しなくても勝手に出てくる、無意識で出来てしまう自分の性質だと思っほうがよいです。自分では意識していなくても、自分の考え方や行動のクセを客観的に捉えると、このように見えるということが分かります。

ストレングスファインダーの方が34項目から5項目なので、より精度が高く感じますが、転職の筆記試験でSPI試験を受けた場合はグッドポイント診断をおすすめします。同じリクルートのSPI試験とグッドポイント診断です。ほぼ同じ結果が出るはずですし、同じ結果でないと色々と困りますね。

まずはグッドポイント診断を受けて、興味があればストレングスファインダーもやってみるのが良いかと考えます。

すでにエントリーシートで「自分の性格」を記入している場合も多いと思います。診断結果の5項目の中から、自分が記入した「自分の性格」を結びつけられるものがあるか考えるのも良いでしょう。

正直に「自分では○○な性格だと考えていましたが、こういう種類の診断をしてみたら、自分が考えていたものと結果が違いました。どちらが正解かは分かりませんが、言われてみれば診断結果のような部分が自分にはあると感じています。それは○○という部分だと思います」と、ぶっちゃけても良いでしょう。

自己啓発とか性格診断とか興味無くても、転職の面接のためだと思えば、やってみる価値はあります。やってみれば意外と面白い結果が出たりしますしね。

こんなツールを使って、答えにくい質問への準備をして、面接を乗り切って下さい。

では、また

シェアする

スポンサーリンク

コメント

  1. 市原 嗣久 より:

    佐治さん こんにちは。
    千葉で構造設計事務所をやっている、市原嗣久(いちはら あきひさ)といいます。
    千葉の構造設計者の会の代表をやっていまして、今、総会シーズン真っ盛り。何か、話のネタが無いか探していたところ、入り入りとおもしろい記事にあたり読ませていただきました。
    特に「構造設計者が持っておきたい資質」に共感いたしましてしみじみと頷いた次第です。若い設計者にも共感してもらいたい事柄ですね。

    • 佐治 より:

      市原様

       コメント頂き、ありがとうございます

      千葉で御活躍とのこと
      実は、船橋方面に少しご縁がありまして
      懐かしく思い出しました

      私自身、構造設計業界の辺境で
      何とか息をしている状態なのに
      「資質」なんて
      おこがましいとは感じつつも
      公開した記事です

      同業者の市原様に
      少しでも、気になって頂けたのであれば
      こんな幸せなことはありません

      カメの歩みのようなブログですが
      また記事を更新していきますので

      今後とも御贔屓にして頂ければ、励みになります

      重ね重ね、ありがとうございました