防大の学生はただの筋肉バカではありません、単位を取るのも結構大変なんです

防大での生活を知らない人には、訓練や寄宿舎での生活の話をした方が受けが良いのですが、他の大学と変らず普通の講義(軍事関連じゃない科目)を受けている時間の方が圧倒的に長かったりします。

防大にも文系と理系があります

防衛大学校の入試の時点で文系と理系で別々に受験します。定員の振り分けは9割が理系で、残り1割が文系となっています。入試での難易度でいうと、理系はそこそこの国立大学程度で超難関ってわけじゃないですが、文系は定員が少ないため競争率が高くて結構な難関です。

一般の大学と同じように、現役生もいれば浪人生もいます。現役生には、私のように防大が第一志望ではなかったけど…結果的に入校したという学生もちらほらいます。浪人生はほとんどが防大を志望して入校してきており、入校する時点で自衛隊とか自衛官に対する意識が、私なんかとは全然違ってて驚きました。

当たり前ですが、数学や物理、外国語などの講義は理系と文系で異なるクラスとして受けることになります。連日、朝から清掃やら腕立て伏せやらで体力使いまくっているので、講義の時間は信じられないくらい眠いですが、眠っている場合ではないのです。

講義のレベルは結構高いと思います

講義を行う教授陣は、防大でずっと研究職をしている先生もいれば、他の大学を退官された先生もいます。東京大学の元教授の数学の講義とかは本当に大変でした。「君たちは優秀なはずだから、この程度は理解出来て当たり前ですよね」とか笑いながら言って、さっぱり理解が追いつかない内容とスピードで講義を進められたりしました。

そんな時に助けてくれたのが、進学校出身者と浪人組の同期です。さっぱり分からない講義の内容を「ふんふん、あ~あれね。あの話ね」って感じで余裕を持ってうなずいている進学校出身者と浪人組。ノートをとるだけで必死だった私は、寄宿舎での自習時間に内容をかみ砕いて教えてもらっていました。

彼らによく言われたのが、「高校の履修範囲は高2までで終わり、高3の時は受験対策やってて、その時に聞いた内容だよ」とか、「予備校の授業で出てきた内容だよ」というものです。私は、いや~マジか!なんじゃそりゃ、こっちは必死やっちゅうねん。と思いながら、同期の教えをありがたく拝聴していました。

単位を落とすと大変です

防大も普通の大学と同じように前期と後期に別れて定期試験があります。1年生の場合は、ほとんどが必修科目なので、手を抜いても良い科目は存在しません。しかも、単位は2単位しか落とせないのです。2単位を越えて落とすと留年となり、2度目の留年をすると「退校」つまりクビになってしまいます。

通年で評価してもらえる科目もあり、追試などの救済措置もあるのですが、定期試験は本当にドキドキでした。私は1年生の12月に退校したので、定期試験を受けたのは1度だけです。同期に教えてもらいながら、必死で試験勉強をして何とか単位を落とすことは無かったのですが、ぎりぎりで踏みこたえたって感じでした。

給料もらいながら勉強して、講義が難しいだとか眠いだとか、単位を落とせないだとか、何を甘えた事を言うとるんじゃ!国家防衛の任に就かんとしているんだから、その程度は当たり前なんじゃボケェ!と言われそうですね。

まぁ、私もそう思います。それでもね、毎日の腕立て伏せで筋肉バカになりかけてるし、そもそもの国防意識が低かった私にとっては、やはり難易度の高い講義だったなと思います。おかげで、防大退校後に浪人して入った大学での一般教養の講義は、楽に理解はできました。

無事に2年生になれれば、専門に分かれます

留年することなく2年生になれれば、希望と成績を考慮して各々の専門に分かれていきます。機械系とか物理系、土木系など一般的な大学と同じような分野があります。私は経験することはできませんでしたが、4年生ともなれば卒業研究で夜遅くまで研究室にこもる事もしばしばあるようでした。

このように、防大生は腕立て伏せばっかりの筋肉バカではありません。普通の大学と同じく、いや授業をサボることは不可能なので、普通の大学以上に講義を受けているかもしれません。サボれない分、お昼寝タイムになっている可能性はありますが、結構マジメにお勉強もやってます、という話でした。

では、また

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