防衛大学校への入校

なぜ防衛大学校に入校したのか、何を感じて何を学んで、何が今につながるのか

私の紹介も兼ねてシリーズで書いていきたいと思います。

boudai-honbu

防衛大学校とは

 神奈川県横須賀市にある、自衛隊の幹部を養成する防衛省の教育訓練・研究のための機関です。前身は昭和27年設立の保安大学校で、昭和29年に防衛大学校と改名しています。

何故受験したのか

1次試験が11月頃と早く、模擬試験の代わりに利用する受験生も多く、私もその一人でした。また、防衛大学校(以下、防大)は受験料が無料であったことも理由です。

運良く1次試験を合格し、模擬試験のつもりならそれでおしまい

なのだけど、面接と小論文も経験しておきたくなり2次試験も受験した結果、合格してしまいました。

何故入校したのか

入学することを防大では入校といいます。

高校3年生になっても受験勉強に身が入らず、現実逃避の日々を続けた結果

防大以外では、東京の私立大学にしか合格できませんでした。

東京の私立大学に進学するには経済的な負担が大きく、かといって地元で浪人生活をしても

受験勉強に身が入らず現実逃避なんていう、ふにゃけた状態のままではダメだと思い、厳しい環境であると聞いていた防大に入れば

「今の自分が変わるかもしれない、変われるかもしれない」

との願いから防大への入校を決めました。

当時、両親からは

「無理して自衛官になるなる道に進まなくても良い、私立大学でも遠慮はいらんぞ」

と言ってもらったのだけど、やはり自分自身を変えたくて防大へ進むことに決めました。

着校

私が入校したのは1991年で防大39期生としてでした。防大への着校は4月1日だったと思う

前日は横浜駅前のホテルで宿泊し、不安全開で京急に乗って三浦半島の浦賀までドキドキしながら電車に乗っていました

浦賀駅で降りると、同じ防大に入校するらしき人に連なって坂道を歩いて防大に到着

正門には、当たり前ですが門衛の自衛官の方がいて入校の旨を伝えて敷地内に入れてもらいました。戦車や戦闘機が展示してあって、今まで感じた事のない自衛隊の施設の空気に触れて緊張マックス状態でいると、対番という2年生に出迎えにきて頂き、その人に案内されて自分の学生舎に到着しました。同室は福岡県出身のY君、人生初の寮生活でしかも他人と同室って分かっていたけど、不安と緊張が更に増したのを覚えています。

当時の私がいた大隊は、同じ学年同士2~4人で机とロッカー、ベッドがある1つの部屋で生活し、1年生から4年生の4部屋で1つのブロックを形成し、この4部屋を「部屋」と呼んでいました。

私たちよりもずっと以前は、1年生から4年生の各学年2人の計8人で大きな1部屋で生活していたようです。

今現在は、私たちの時より昔の状態に近く、1年生から4年生の各学年2人の計8人で自習部屋と寝室の2部屋を使っているようです。

対番

防大では、1年生には必ず2年生の対番が付いて学生舎での生活全般や、防大での過ごし方全てをマツーマンで指導するシステムがあります。私が入校したころは、まだ女子学生はおらず完全な男のみの世界でした。

この対番というシステム、当然ですが2年生の方が1年生の時にはその上に対番がいて、さらにその上にも・・・って事で、連綿と続いています。右も左も分からない状況で、生活に必要な品々(歯ブラシ、タオル、洗面器、衣装ケースから下着まで)を購入してもらい、貸与された制服のズボンの裾上げのやり方、アイロンのあて方等、生活する上で最低限必要な事や敬礼の仕方、靴の磨き方、校章の磨き方など学生舎で生き抜くために必要な全てを教えて頂きました。

さらに、1年生である自分が失敗したりした場合は、対番の2年生が呼び出され厳しい叱責を受けます。4年生いわく

「1年生が出来ないのは対番である2年生の指導がダメだからだ。何を教えている!」

って、いやいや1年生の私が教えてもらったように出来ないのが悪いでしょう、とは思ったとしても絶対に口に出せるわけもなく、ただ自分の不甲斐なさで叱責を受ける対番の姿を見ているしかない状況は、精神的にきつかったです。

入校

防大に着校し生活に必要な状況が整うと、今度は4月5日の入校式に向けた練習が始まります。防大に入って最初にビックリした事がこの入校式の練習で起こります。

連日の入校式の練習で、入校生代表が宣誓をする時に「入校生500人!」というように、その年に入校する人数を言うのですが、これが見事に1日ごとに減っていきます。

1日目:550人→2日目:500人って感じで減っていき、最終的に入校式までの5日間で当初から100人近く人数が減っていました。

着校から入校式までの期間は、正式には防大の学生ではなく「お客さん」としての期間なので、「あ、合わないな」と思えばその日のうちに出て行く事ができます。

ちなみに、防大の学生の身分は特別職の国家公務員となり、給与もあり保険・共済にも加入するようになります。卒業すれば大学卒の資格は得られるものの、お国に就職したのと同じ状況になるわけですね。

会社に就職したら、今すぐ辞める事は難しいのと同じで、入校式が終わって防大の学生になったら、辞めるのに少し時間がかかります。この着校から入校式までの期間に結構な人数が辞めていく事は最初から想定済みで、第一印象で合わない場合はお互い無理せず早めにお別れしましょう、という事なのです。

お客さんの時間は終わった

入校式の夜、学生舎の放送で上級生からアナウンスされました

「1年生諸君、お客さんの時間は終わった。

これから真の防衛大学校生活がスタートする。

今夜はゆっくり眠れ。」

そう、本当の防大生活はここからスタートだったのです。

では、また。

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