防大1年生の7月、遠泳以外は見学がメインで楽勝です

防衛大学校に入校して3ヶ月、7月の夏期訓練期間はそれまでとは1年生の状況が少し変ります。2年生から4年生までの上級生は陸上、海上、航空に別れて部隊訓練で防大を留守にする機会が多くなります。必然的に上級生と顔を合わせる機会が減り、今までの緊張感から少し解放されます。

1年生の夏期訓練は見学がメイン

1年生にとっては、防大に入っての最初の夏期訓練です。防衛大学校では2年生に進級する段階で、各自の希望と適正を考慮して陸海空に配属が別れます。この配属は基本的に、自衛官人生の最後まで変りません。

1年生の場合は、この夏期訓練で陸上、海上、航空の各部隊を見ておくことで将来の配属希望の参考にする意味合いもあり、部隊見学がメインとなっています。部隊見学といっても遊びではないのでヘラヘラしてはいられませんが、気分はほぼ遠足です。

どんなことをするかというと

陸上自衛隊の場合は、1年生の秋期訓練で陸上自衛隊の部隊訓練もあるため、この夏期訓練で部隊見学は多くありません。その中で印象に残っているのは、輸送ヘリコプターに搭乗したことです。ご存知の方もあるかと思いますが、プロペラが前後に2つある胴長のヘリコプターです。乗り心地はというと、控えめに言って「悪い」です。当たり前に乗用ではなく、資材や車両を輸送する目的がメインなので、荷室は機体装甲がむき出しで騒音が激しく、シートは壁際にあるものの振動がひどく、座り心地はトラックの荷台なみです。

航空自衛隊の場合、印象に残っているのはレーダーサイトを見学したことです。映画で見るように、大きな画面に現在上空を飛んでいる飛行機がマーカー表示されて、刻一刻と状況が変っている様子を見学することができました。

海上自衛隊では、横須賀基地に停泊中の潜水艦の内部を見学したり、護衛艦に乗って伊豆大島のあたりまで航行して頂いたりしました。中でも一番は、対潜哨戒機に搭乗できたことです。ニュースなどで時々出てきますが、P3Cという潜水艦を探知する専用の飛行機です。対潜哨戒機は輸送機とは違って、機体内部は電子機器が満載ですが乗り心地は最高です。実は私、人生初の飛行機がこの対潜哨戒機でした。

夏期訓練の最後の週に遠泳があります

夏期訓練の最後の週に東京湾での遠泳があります。5月から訓練してきた赤帽クラスも白帽となって、他の1年生と同じように泳げるようになっています。プールでの1kmから始まり、実際に海に出て2kmから段階的に距離を伸ばして、最終日に8kmの遠泳となります。

最初の海での2kmの時はクラゲに戸惑いながら泳いでいましたが、途中からは透明なクラゲは気にしなくなります。というか、気にしてたら追いつかないくらいクラゲだらけなので、慣れてしまいます。

距離が伸びてくると、途中で休憩したり栄養補給を行います。休憩といっても、泳いで前に進まないってだけで水中であることに変わりはありません。その場で立ち泳ぎをしながらの休憩となります。その際、指導教官が乗っているボートから乾パンの袋を投入してくれ、それを立ち泳ぎしながら食べます。空腹でもあり、海水の塩味がアクセントになって、なかなかイケるもんです。

入校時に1mも泳げなかった人も無事に泳ぎ切り、遠泳が終わると1年生の夏期訓練もほぼ終了となります。8月は夏期休暇です。クラブ活動の合宿があったりするので、丸々1ヶ月防大を離れるというわけではありませんが、それでも久しぶりに外の世界で長期間を過ごせる日々となります。

夏期休暇に入る直前、上級生から「9月にはちゃんと帰ってこいよ!」と半分笑いながら言われたりします。夏休みを乗り越えて、帰ってこれるのでしょうか。

では、また。

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