マルトリートメントは意識するけど、やってしまったら反省して次に活かす

「自分の子育ては正しいのか?」とか「もしかして虐待してるのかも?」と不安になり、子育てに正解を求めてしまうときがあります。正解がないのは頭で分かっているつもりでも、つい考えちゃうんですよね。

先日、友田明美さん著「子どもの脳を傷つける親たち」という本と出会いました。子どもに対する親の不適切な関わりの影響で子どもの脳が傷つくという事実を、医師であり研究者である著者の経験と実例からまとまめられた内容になっています。

マルトリートメントとは「不適切な養育」

マルトリートメントって言葉を聞かれたことはありますか?私は友田明美さんの著書を読むまで知りませんでした。

maltreatmentは、treatment(扱い)にmal(悪い・悪く)という接頭語がついたもので、日本語では「不適切な養育」と訳されています。

「子どもの脳を傷つける親たち」p28

「子どもの脳を傷つける親たち」は、六章で構成されています。

序章:執筆の背景と願いを、友田さんの個人的な経験もふまえて提示

第一章:どのような行為がマルトリートメントになるのか具体例によって説明

第二章:マルトリートメントが、どのように子どもの脳に影響をおよぼすのか科学的側面から解説

第三章:子どもの脳がもつ柔軟性や回復力を示し、心の傷を癒すための治療法を具体的事例を交えて紹介

第四章:子どもの健全な発達に不可欠な愛着形成について解説し、育て直しは可能だという希望を提示

終章:子育てをしている親へのサポートの重要性と、子どもとマルトリートメントの問題は社会全体で考えるべきだと提言

虐待という言葉の強烈さの反面で、「虐待というほどではない」と考えてしまって不適切な行為が見過ごされてしまう可能性がある。虐待ではなく、マルトリートメントという言葉と考え方が広く認知されて欲しい。

危害を加えるつもりがなく、子どもに目立つ傷や精神疾患がなくても、行為そのものが不適切であれば、それはマルトリートメントになるそうです。

読んでいる間は、自分のことを言われているようで、グッサグッサと心を刺されながら一気に読み終えました。分かっているんです、やらないに越したことはないんです。

でも、分かっていて実行できるほど「できた人間」ではないんです。ついつい、大きな声で叱ってしまったり、息子のおしりをペンってやってしまうことがあるのです。

でもそれはマルトリートメントなのですよね。

マルトリートメントで子どもの脳が傷つく

過度なストレスを受け続けることになると、その苦しみを回避しようとするかのように、「脳が変形していく」のです。

マルトリートメントは、子どもにとってストレスそのものです。

「子どもの脳を傷つける親たち」p102

日常的に、繰り返し何度も暴力を受けたり、強い言葉をぶつけられたり、目の前で夫婦喧嘩を見せられたりする「過度なストレス」を受け続ける。子どもの脳は、避難するための防衛反応として、傷つき変形してしまう。

親としては耳の痛い話です。時々は大きな声で叱ったり、ちょっと手が出てしまったりするけど、日常的ではないので関係ないと思ってしまいがちです。

本当に関係ないのでしょうか。やらないに越したことはないことをやってしまっているなら、自覚している以上に頻繁にやってしまっていないと言い切れるでしょうか。

不適切な行為をしてしまうことは、仕方ないですよね。常に平常心を保ち、自制して子どもと向き合えるほど立派な人間ではないですから。

それでも、意識はしておいた方がいい。大きな声で叱ったり、ちょっと手が出てしまった自分の行為は、強弱に関係なくマルトリートメントなんです。

マルトリートメントを意識して、やってしまったら反省

子どもへの接し方を、今日から急に変えようとしても難しいです。穏やかに接しているだけで済ませられるなら、とっくにやっているのです。だからといって、少しくらいなら大丈夫だろう、仕方ないよねと開き直ってはいけませんね。

子どもが危険なことをやってしまったとき、やってはダメなことをしてしまったとき、親としてキツく叱る場面もあるでしょう。マルトリートメントとみなされる行為をしてしまうこともあるでしょう。

そんなときのために、普段から意識しておくことが大切になります。やらなきゃいけないと判断したこと、やってしまったことは元には戻せません。けれど、普段から意識していれば、すぐに自分の行為に気付くことができます。

他に方法はなかったのか、子どもに関係ない自分自身の感情を吐き出しただけではないのか、不適切な行為に気付くことができれば反省できます。反省できれば、次の機会に活かすこともできるでしょう。

子どもの成長スピードは、驚くほど早いですね。置いていかれないように、親として少しずつでも成長していけるよう精進します。

では、また

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